2015/5 [HOME]

++ 日記 ++

2015/5/29(FRI)
055
5月の
いい天気の10時半には
読みかけの文庫本を指にはさみ
レースカーテン越しに差し込む光で
殺人犯を追いかける


5月の光は右のページを斜めに照らし
左のページに目が移ると
影から文字が浮き立つように
右手の指に持ち替える
真上の蛍光灯など不要


窓の外は一面光の眩しさだが
この部屋は光とその影が
貝やお面や掛け時計などの実在を見せている


光が貝の輪郭をなぞり
影をまわりに彫り込む
5月の朝10時半
犯人は光を嫌い
影が幾重に重なった闇に潜んでいる


たとえ次のページを
どんなに明るいほうに傾けようとも
犯人に至る闇はなお深い

2015/5/18(MON)
54
花はつまらない
見てほしいというその必死
花は本意ではないとしても
白日の下にさらされ
微笑んでいなければならない


花はさびしい
知らぬ間に注目をあつめ
そのあでやかさから
茎や葉、根からも
うらやましがられ ときに妬まれる


それゆえ花は
病を得たふりをして
自らを切り離すこともある
それらのことをはじめから
愛でるつもりの人の目が気づくことはない

2015/5/15(FRI)
加島祥造「アー・ユー・フリー」から
・大きなことはいらない。
 ほのかな希望で生きていけばいいんだよ。

・物事に驚くマインドというものを持ち続けていれば、私たちは老化しない。

・「よくわからないけど、なんかいいなあ」という気持ちには、深いものがある。

・客観的な美より主観的な美のほうがずっと大切。

・自分の体そのものが、全体として、いまここにあるんだという存在感を自分自身で感じられると、ひとりきりでも充実するんです

・自分の潜在能力をいかに発展させていくかが 人生の目的だ。

・コップは、中に無の空間があるから、コップなんだ。この空間がなくなった、コップはコップでなくなってしまう。(略)コップというのはコップのことでなく、コップの空間のことではないか。(略)無というものからみる見方。

・予期しないことが起こったとき、それを「縁」として、喜ぶ。

・興味のないものにこだわっていると、老化しちゃうよ。
 (略)とにかく、おもしろいと思ってやる精神、その心が大切なんだ。

2015/5/13(WED)
053‐2
目の前のテーブルの上にガラスのボウルがあって
先月屋久島の磯で拾ってきたタカラガイやイモガイが
ダバッと飾ってある
美しい(貝は水の中がやっぱり似合う)


毎日、妻がお休みのキスをしに部屋に入ってくるが
このおれの宝物には目もくれない
わあ、きれい、ステキ、なにこれ、一つ頂戴などと言わない
母も週2回燃えるごみの収集日に部屋に入るが
テーブルの上の輝くものに一瞥をくれたのかくれないのか
これ、どうしたの?酒田の浜でひろったの?
などと聞いてこない


彼らにとって、美とは何だろう
彼らにとって、おれはなんなのだろう
おれにとって、美とは何だろう


テレビを消した
昼ごはん中にテレビを消した
山の中に生き埋めにされたどこかのだれかが見つかった
ニュースはつらい、見たくない
いまも世界のどこかでだれかが殺されている


強いられてこと切れた命
それがだんだん近づいている
世界にはミステリーノベルが氾濫して
私、オブラート越しに殺人を楽しむ
氾濫しない川の向こう側のこととして
このほろ苦さがうまいんだ、なんて言いながら


私、二人の子供の叫び声に包まれて
まいにちまいにちまいにち洗濯する
一日をきれいにする
きれいにしてもまるっきりきれいにはならない
まるっきりきれいにしたくもない
ニュースを見たくない 見たい


053‐2
目の前のテーブルの上にガラスのボウルがあって
先月屋久島の磯で拾ってきたタカラガイやイモガイが
ダバッと飾ってある
美しい(貝は水の中がやっぱり似合う)


毎日、妻がお休みのキスをしに部屋に入ってくるが
このおれの宝物には目もくれない
わあ、きれい、ステキ、なにこれ、一つ頂戴などと言わない
母も週2回燃えるごみの収集日に部屋に入るが
テーブルの上の輝くものに一瞥をくれたのかくれないのか
これ、どうしたの?酒田の浜でひろったの?
などと聞いてこない


彼らにとって、美とは何だろう
彼らにとって、おれはなんなのだろう
おれにとって、美とは何だろう


テレビを消した
昼ごはん中にテレビを消した
山の中に生き埋めにされたどこかのだれかが見つかった
ニュースはつらい、見たくない
いまも世界のどこかでだれかが殺されている


強いられてこと切れた命
それがだんだん近づいている
世界にはミステリーノベルが氾濫して
私、オブラート越しに殺人を楽しむ
氾濫しない川の向こう側のこととして
このほろ苦さがうまいんだ、なんて言いながら


私、二人の子供の叫び声に包まれて
まいにちまいにちまいにち洗濯する
一日をきれいにする
きれいにしてもまるっきりきれいにはならない
まるっきりきれいにしたくもない
ニュースを見たくない 見たい


2015/5/11(MON)
051-2
友達の詩の中の一節
「白い草の海の上の/雲の涯の彼方へ/私の右手の人差し指の歪みのように」と打ったら、
最後の「の」の下に波型ギザギザが出てきたんだって
あまりに使いすぎて
パソコンの「の」の在庫
なくなりかかっているんだよ、きっと


053
目の前のテーブルの上にガラスのボウルがあって
先月屋久島の磯で拾ってきたタカラガイやイモガイが
ダバッと飾ってある
美しい(貝は水の中がやっぱり似合う)


毎日、妻がお休みのキスをしに部屋に入ってくるが
このおれの宝物には目もくれない
わあ、きれい、ステキ、なにこれ、一つ頂戴などと言わない
母も週2回燃えるごみの収集日に部屋に入るが
テーブルの上の輝くものに一瞥をくれたのかくれないのか
これ、どうしたの?酒田の浜でひろったの?
などと聞いてこない


彼らにとって、美とは何だろう
彼らにとって、おれはなんなのだろう

2015/5/6(WED)
世の中のゴールデンウイークが、今日で終わり。ま、始まりも終わりもあまり関係なかったけどね。
ヘニング・マンケルを読み始めたら、抜けられなくなった。
だから、ここにも書き込みが少ない。
「殺人者の顔」「リガの犬たち」「白い雌ライオン」そしてこれから、「笑う男」。
050 <風呂に入る>
シャンプーを左の手のひらにとり
右手の手のひらで合わせて
髪に塗り、手グシでこすりつける
泡だった左手で、額、頬、あごのあたりをこすり
右手を添えて、顔を泡立てる
シャンプーだぜ
それから、なんとなく、
両足の間に手は伸びて
そこいらに泡をまぶす
石鹸、あるだろ
なんで石鹸、使わないの?


わからない

051
友達の詩の中の一節
「白い草の海の上の/雲の涯の彼方へ/私の右手の人差し指の歪みのように」と打ったら、
「の」の下に波型ギザギザが出てきたんだって
パソコンの「の」の在庫
切れかかっているのかな
052
A氏は力説する
「わたしはヴォバリー夫人です」と
「ヴォバリー夫人はわたしです」では
「わたし」の意味がちがうんだと


なにそれ
それから、ちょっと、なるほど
あとの「わたし」はなにか重いものを背負っている・・・


なのに知らぬ間に
「わたしはわたしよ/もともとこんなよ/
 笑いたかったらキャッキャと笑うわ」
の空に浮かんでる



2015/5/3(SUN)
世の中、ゴールデンだという。
「大型連休」と言って、「ゴールデンウイーク」と言わなくなったのは、なぜ?
わらび、竹の子、ありがたく、うまい。
050 はこの次。



前月へ 次月へ


日記帳(3) v1.02.00 エース (素材協力:牛飼いとアイコンの部屋)