2012/5 [HOME]

++ 日記 ++

2012/5/28(MON)
彼がモノを思うとき
ことばによって思うのではない
なにか心に強く打ち寄せる波のような
流動的で形になるようでならない、そんな


彼はモノを思っても
まだ、何もしない
何もできない
思いが思いのままである間


思いがいつことばになるのか
ことばはどこからともなく現れて 
無名のモノに貼りつくのだ
それ以来 頭の上の広がりを空と
熟した果物をかじると甘いと
そばの人と伝えられる
  

2012/5/26(SAT)
アカシアの花の下で あの娘がそっと涙をふいた・・・
古い歌が口をついて出た
ベトナム、ホーチミンのある昼下がり
ブンなんとかという麺をすすりこむ口から
サンダル転がし部屋に戻りパソコン開けて
YUJIROとキーを叩いた
それから三時間
YUJIROの甘く渋い歌に声を合わせ
RURIKOとの銀幕のロマンスを自分に重ねた
若き日 若き声
  ✾
ありのまま あるがまま
書いてそれがなんになる
日記のようなことを書いて
個人の出来事や感想を文字にして
と思うが
ありのままを あるがまま
文字にできるはずもない
瞬間の作為に
瞬間の詩の光が射し込まんことを!
  ✾
飲みそこねた薬が床にころがっている
拾って口に入れるか
捨てたほうが体にいいのか・・・
まようひまもひつようもないのだが
今日はそんなことが気にかかる


2012/5/23(WED)
スイカジュースが飲みたくなって
夜11時、サンダルで走る
1ブロック奥の角の店
ドシテニホンニナインダロ
しぼりたて、多分さとう入り
しぼりたてそのままのサトウキビジュースと
どっちにするか、迷う楽しみ
スイカは1年中
ドリアン、マンゴスチンは季節もの
5月はドリアンを3つもらった
指、すくい唇、すいベロ、なめとる
耽溺
のがれられない
  ✾
きょうはふたつ
なかばせんべいと
かたちそのまま
バイクだから
ちらっとですむ
みちばたの
たましいぬけねずみ
  ✾
で、
アスタリスク
って、なに?
  ✾
名前ばかり知っていて
実体を知らない


ケルガークリーム
女郎花
やみくろ
水曜日の水
そばにいた人

ねむくなった
詩を書くより魅力的
というか
判断できない
できるなら
どうでもいい場所へ
あした以外の
  ✾
さようなら

はっきり
だれかに告げられた夢
  

2012/5/22(TUE)
雨季、雨の季節である。
カラカラ天気の午前が過ぎ、4時ぐらいになるとザワザワ街路樹の葉がざわめき出し、やがてカミナリが響き、窓ガラスを大粒の雫が叩き、バイクは停車してカッパを取り出し、生ぬるい雨が一時滝のように降り注ぐ。そんな季節。
おかげでいくぶん涼しくはなるのだが、やはり蒸し暑い汗の季節。

つまるところ、ことばだ
言葉がつかずか離れず
線香花火ほどのランダムな散り方が好ましい
文的に正しく意味が見えないのがこの時代風
まわりを固めておけば中は混沌でかまわない
目新しい平仮名、カタカナ、漢字語彙を拾って
パッチワークの要領です(したことないけど)
色と形と観念語と具体語をつまんで針にさし
ある流れになるようとっかえひっかえやっていると
いつのまにか一編のできあがり
  ✾
ぼくは今日生きた
こうして書きとめている
きのうも生きたらしい
流しに重なった食器でわかる
おとといは?
おとといの痕跡は? どこにもない
ベッドサイドにもPCの中にも胸をかきまわしてみても
じゃ、あしたは
あしたに入るのになにかカードのようなものがいるのか
いっそそのほうがわかりやすい
きょう生きているといつの間にかあしたになるなんて
だれかここまで生きた証拠をくれないか
小学生の夏休みのラジオ体操のハンコのような
死んでないから生きているのだろうと察しはつくが
この自動詞に意思性はあるのか
おれは日常の棺の中でひっそり空気を吸って吐いているのか
下りのない階段をひとつ登ろうとしているのか
君、どう思う?
  ✾
風が吹いている
のがわかるのは
風がおれの形に沿ってすべっていくから
こんなにきもちいいのは
風の指先がなでているから
風の目が見つめているから
まるで子供の成長をたしかめているように
  ✾
わずか20メートルの高さのものから
一万メートルに迫るのまで
すべて「山」というのだとしたら
そのデザインはひとつにおさまらない


しかし少なくとも地上より低いところを
「山」とは言わないのは確かだ


なんでこんなことを書き始めたのだろう
おれは何を言いたいのか


ま、気にしないでくれ
山は、好きだよ
  ✾
彼がモノを思うとき
ことばによって思うのではない
なにか心に強く打ち寄せる波のような
流動的で形になるようでならない、そんな


彼はモノを思っても
まだ、何もしない
何もできない
思いが思いのままである間


ことばは現れるのか 
ことばを着ていないモノをさがして
どこからともなく あるいは
どこかで生まれて
モノに貼りつくのか
  <今日はここまで>










  






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