引き続き、杉山平一氏の作品から。 星濃紺の空に風にみがかれて星がピカピカひかっている星のひかりでピアノはなるだろうか星のひかりで岩はくぼむだろうかしかし星のひかりで僕の心は鳴るのだ・ちょっとあまいけどな。・最後の1行で、詩を成立させている。
川口市の図書館で、「杉山平一全詩集」を見つけた。上と下の2巻あって、それぞれ5センチはあろうかという分厚いもの。杉山平一氏はご存知の方も多いだろうが、短詩の名手。まとめて読むのはおれも初めて。その中から。 球 拾われた球が野球チームに投げ込まれるや否や 萎れていた彼らは立ち直り生気をおびてきた 組織と規則と位置が溌剌と浮かび上がってきた 小さなただ一個のもの それは貨幣のごとく循環して人を酔わせた・夏草にまぎれて、ボールがなかなかみつからなかったんだね。立ち上がった少年たちの歓声が聞こえる。・「貨幣のごとく」という比喩はどうかな。
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