外は雨ひっきりなしに、チェ、チェと舌打ちしながら11月の終わりのおれの胸元にしみ込んでくるおれはまるで100年前の西洋人のように喉仏を膨らませてコーヒーを飲み込むのだきょうは何日きょうは毎日だよそう応答する人もなくガラス戸の露を集めて書く人の名もなくただ 雨の向こうの遠い遠い砂漠の熱い砂を走る虹色のトカゲの見ているものを見ているのだ
004急にマラルメなんて読まなくちゃと思って図書館に行って借りてきたのはいいが茶色にあせた紙印刷された文字は古い日本語で読めやしないなんという体たらくまるで象形文字一目見て投げ出してしまったよ一事が万事、この調子止まない雨はないというが明けない夜はないというが晴れるのはきっと、おれが眠ってからネズミがおれの記憶をかじっているころそんな現実と非現実を行ったり来たりしながら性懲りもなく書き続けるのだ
003たかがひとつのことばなのにどうしてこんなにうれしいのだろうあの人の口からこぼれたことばだからあの人の心そのものだから5月の陽の光のようにおれの心をあたためるたかがひとつのことばなのにどうしてこんなにさびしいのだろうあいつから思わずもれたことばだからあいつの心の底がみえたから11月のこがらしのようにおれの心をしめつけることばよ おしえてくれ君はどうやってあの思いをみつけたのうれしさも さびしさもしりたいことも しりたくないこともことばにならなければしられることはなかったのに
002壁打ちに行こうと、シャツを着替えテニスザックを背負い、外を見たら雨が降りだしていたそうして1時間たって、ひどい降りになったまだ4時過ぎだって言うのに外はうす暗くなってこんな、中途半端な、心残りな、ストンと落ち着かないまますぎてしまうのかきょうもおれの一生も
先月、29日に「ヒロ」で金森公介のライブを聞いた。いろいろ考えさせられた。うまいか下手かは別として、彼にはスタイルがある。ゆるぎないスタイルがあるから、安定していて、安心感がある。だから、聞ける。聞いていられる。メロディーだの、歌詞がどうだのは忘れた。ただ、迫ってくるものが確実にあった。自分のスタイルを持つってことを、考えている。「自分のスタイル・・・?」 001始まるいや、始める外国人には難しい自動詞と他動詞が日本語にある理由とはくらげは自動詞的か他動詞的かくらげにもきっと、わからない
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