2004/11 [HOME]

++ 日記 ++

2004/11/27(SAT)
今日、マレーシア行きが正式に決定した。
今まで、実は内定だったので、どこか落ち着かなかったけど、決まって一安心。
仕事を1月でやめるので、やっぱり大きな転機となるだろう。
行くことが決まると、今度は2年後に帰ってきてからのことが、次の心配事項として頭をもたげてくる。まったく、ヒトってやつは心配好きなように作られていると思う。それでバランス取ってるんじゃないか。
ともあれ、セカンドステージの入り口にたどり着いた感じ。

2004/11/25(THU)
やっと風邪が癒えた。まったく、咳が止まらないぐらいで、毎日がブルーになるんだから、おれも弱いというか、ま、そんなもんだ、しかたないというか・・・。

そんな中で、3冊の詩集を読んだ。
石原武氏の「飛蝗記」、葵川玲氏の「葵川玲 詩集成」、中正敏氏の「秒針」。
この3冊には共通にあるが、私にはないものがあって、それは「社会性」というもの。石原氏は自らの生き様と、遭遇し、見聞きした外界との関係性を探っているように思えるし、葵川氏の作品はそのモチーフのことごとくを社会、世界における「出来事」に求め、発言する。中氏の場合はすべてのことば、声がヒトのおろかさを突き、邪悪な戦いを糾弾する。
私ももちろん、例えば、幼児殺害のニュースを見れば憤慨するし、イラクの状況を見れば暗澹たる気持ちになる。社会と自分はそれぞれ別々に動いているなどというつもりはない。
けれど、私の詩には「他人の出来事」はほとんど登場しない。
確実に感覚でとらえられるものは、自分が遭遇した「自分のまわりの出来事」だけという思いがあるからだろう。まだ、(と言っておきたいが)手の届かない「他人の出来事」を描写する自分のことばをもっていないのだ。


2004/11/20(SAT)
グエッ、グエッ、ああ、胸が痛い。のどがヒリヒリ。頭が重い。
久しぶりに重度の風邪を引いてしまった。
仕事は忙しくて、休めないので、ノロノロ続けているが、帰って何もする気が起きない。
けれど食欲はあるんだよね。不思議。

2004/11/7(SUN)
来年の4月に2年間、マレーシアに行くことになった。クアラルンプールにある大学で日本留学希望の人たちに日本語教える仕事。交流基金の派遣なので、条件はいいし、「ヤッター!」。
4月からはここにもマレーシア便りもが混じりそう。
   *   *
今日は「J句会」に行った。この句会は俳人と詩人がいっしょの、ちょっと変わった会。きょうは5対5。俳人と詩人は、微妙に感覚が違っていて、面白い。勝手なことを言わせてもらうと、時々新鮮味のない、決まりすぎてると思うような句を俳人は高く評価することがある。定型、伝統の影響だろうか。
といって、自分でいい句が作れないのだから、ひがみにしか聞こえない、でしょう?

今日、点が入った私の句。(恥さらし? そう、でもいい)
(きょうは六本木ヒル、吟行)

 ・知らぬ間に影が溶け込む秋の暮れ
 ・秋深し日本の響きなき六本木

2004/11/6(SAT)
書けない、書けないったって、締め切りが来たら無理して書かなくっちゃいけない。書けないからって書かないでいると、ずーっと書けなくなっちゃうような気がして。
    *   *
清水さんとこの「風の街」に出したのを、推敲してきのう、小さな合評会に持って行ったら、ありがたい意見をいただいて、なんとかモノになった。その過程を書いてみよう。
(なんでそうするんだろう。何かの参考になるかな、ならないかな。マティスが一つの作品を仕上げるまでの過程で書いたデッサンを作品と並べて展示していた)
    *   *
アテネオリンピックを見て浮かんだ詩。
(初稿)
  位置

 アテネ・オリンピックを見ていて思った
 僕があの表彰台の真ん中に上がることはないだろう
 オリンピックに参加することも
 ましてその候補になることも

 これから先
 俳優や歌手になることはできるだろうか
 金持ちになること
 学者になること
 ミックジャガーのようにセクシーになること・・・

 子供と大人のはざかいのころ
 何かになりたいと思わなかったが
 何にでもなれると思っていた
 何にでもなれると思っていたから
 何にもなれなかった

 なれないものがわかったからこそ
 なれるかもしれない
 自分の
 位置から
 宇宙考古学者
 心理カウンセラー
 プロテニスプレーヤーまでの
 距離を測る
 カウントダウンが始まった
    *   *
(2稿)
  ポジション

 アテネ・オリンピックを見ていて思った
 ぼくがオリンピックに参加することはないだろう
 その候補になることさえも
 ましてあの日本人のように
 表彰台の真ん中で涙で顔をクシャクシャにするなど

 一念発起
 やればできるのだろうか
 なにか人類初の発見をすること
 お金をしこたま儲けること
 あるいは
 ミック・ジャガーのようにセクシーになること

 子どもと大人のはざかいのころ
 やりたいことは特になかったが
 なんでもできると思っていた
 なんでもできると思っていたから
 なんにもできなかった

 なんにもできないことがわかったいまこそ
 なにかできるかもしれない
 スタンディングポジションを正確に測定して
 手を突いて
 ヨーイ!

 ウインブルドンテニスのシニアトーナメントの出場資格を得 るまで
 キャプテン・クックが南の島に隠した金銀財宝を見つけるま で
 あるいは
 ナスカ平原に描かれた巨大な地上絵の謎を解明するまで
 はるかなる
 カウントダウン
    *   *
(3稿)
  ミック・ジャガーのようにセクシーになること

 アテネ・オリンピックを見ていて気がついた
 オリンピックに参加できる資格はとうになくなったのだ
 その候補になることさえも
 ましてあの日本人のように
 表彰台の真ん中で涙で顔をクシャクシャにするなど

 やればできるのだろうか
 なにか・・・

 子どもと大人のはざかいのころ
 やりたいことは特になかったが
 なんでもできると思っていた
 なんでもできると思っていたから
 なんにもできなかった

 なんにもできないことがわかったいまこそ
 なにかできるかもしれない

 スタンディングポジションを正確に測定して
 右の手のひらを胸に当てて鼓動を確かめて
 ウインブルドンテニスのシニアトーナメントの出場資格を得  るまで
 キャプテン・クックが南の島に隠した金銀財宝を見つけるま  で
 あるいは
 ナスカ平原に描かれた巨大な地上絵の謎を解明するまで
 はるかなる
 カウントダウン



2004/11/1(MON)
今日から11月。
「11月は半端な月」なんてフレーズで始まる詩を、昔書いたっけ。あんまり好きじゃない季節だな、今でも。

書けない。
書けないったら、書けない。
どうするべ。
詩集を出した後の、「後遺症」だと思いたいけれど・・・



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