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骸骨人厭々日録


2004年10月

2004/10/4(mon)
まがる夜に 足立和夫



月の光に包まれた
廃棄物置き場が
夜のかたすみに
うかんでいる
からっぽの夜空が
逆さになれば
そこに居るものの
臭いを嗅ぐことになる
つんのめる脚がまがった
夜を蹴る足音は
警備員のからだを透る
声がどうしても眠っていく
夜にまがる声
闇をまがる音
夢の見知らぬ街跡で
ひとはまがる
ひとはゆがむ
いつもまがっているので
いつもゆがんでいる
まがる
先の暗い道に導かれ
ゆがんだ表情を
わずかに
まがりつづける
ゆがむ顔は
皺が深くなっていく
その深さを量る者は
ひとりもいないだろう
漆黒の世界のなかで
ただ息づいているだけ
自身の息づかいを聴いている
まがる夜のなかで






初出『ぺらぺら』9号(2003年10月20日発行)



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