May 01, 2009
「人生の恩師」
「人生の恩師」は医者であったから、多くの患者さんとのお別れ会をやるそうだ。そのお知らせの手紙が届き、そのなかに昔の仲間も紛れ込む。
わたしはそこにずっと見ていない顔を、いくつも発見するはずだ。
そういうことを呆然と考えて、カメラとはさみを持って外に出た。
今まで、予想だにしていない花が咲いている。
去年、植え込んだのを忘れているのだ。
カンボクの白い花や、バイカウツギの白、そして開花中のトガクシショウマを発見!
それからサクラソウやクリンソウの合間をぬってオダマキも開花中。
春は一年で一番ゴージャスな時期だと思う。
山野草のお店に、少しばかり花の注文をしてほっとしたときに、ひらひらと明るい空からおちてきたものがあった。
それは蝶で、調べると「ツマグロヒョウモン」という名前であった。
地球の温暖化で最近北上しつつある蝶なのだが、発生の時期も早いし千葉で見られるというのはよくよくのことに違いない。
ところがそのとき蝶は目の前のサラシナショウマの葉にとまり、まんじりともしなかった。
だからわたしはゆっくりとカメラを持ち、何回もシャッターを押すことができた。
それから、蝶はまた手をふるように空にとびあがった。
わたしはまるで蝶が挨拶にきたようだと思った。
このことはとても印象的なことだった。
わたしは毎日定期的に母のところに電話をかけている。
母は父を亡くしてからは敬虔な仏教徒のようになった。
不思議な人で、臨死体験などをしている。
そして母にこの奇妙な経験を話したら「それは先生かもしれない」といった。
そんなふうにも思えるのであった。
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