Aug 13, 2006
盆休み
ですねー。皆さんどうお過ごしでしょうか。
私はいつもの週末と変わりません。
池井昌樹さんの新詩集「童子」を読みました。
私は池井さんの詩集は前詩集の「一輪」だけしかもっておらず、
それ以前の作品は殆ど読んだことがありません。
正直、「一輪」の大部分を占めている七五調のリズムに、
私はなかなか慣れることが出来ませんでした。
今回も「童子」でも同じく七五調のリズムが下地となっていますが、
しかし意外にも読みにくさはほとんど感じられませんでした。
これは私が池井さんのリズムに慣れたというよりも、
書き手の中でこのリズムを血肉とすることに成功したのだと思います。
最早池井さんの詩の世界の中で七五のリズムは、風や水と同じく自然な要素としてあり、
特別意識されなくなると、そこは読み手にとって非常に心地よい空間です。
また、派手さはなくても、否応なしに覚えさせられてしまう魅力的な言葉があちこちにあり、
一度読んだだけで、もう随分長いこと繰り返し読んできた詩集であるように錯覚します。
この詩集からは、ふわりと浮いたイメージを感じました。
例えば鳥が空に向って勢いよく上昇していって、
ふと羽ばたきをとめて空中に静止状態になり、
あたりをくるりと見渡しているような、そんな印象。
この詩集の中で詩人は、何処へ行こう、何を見ようという意識よりも、
空中にしばし静止してあたりを眺めているといった様子です。
そのとき詩人は、確かにある程度の年齢を重ねてきたひとだとわかるのに、
瞳だけは今まで経てきた年齢を自在に行き交えるように、
あらゆる視点を回遊しながら現在からの眺めを見渡しています。
勤め人として夫として父親としての一日、そんな個人的な風景のそれぞれの場面が、
詩人に吐かせた言葉は人肌のように柔らかく、
様々な生活をする人へと届いていくのではないでしょうか。
読み進めていくにつれ心が静まっていく、とても読み心地のいい詩集です。
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