Apr 14, 2006

久しぶりに、

音楽の話など。

と言っても、最近は音楽を聴くことがめっきり少なくなり、
しかも聴くものといえばクラシックが主になってしまいました。

で、最近聴いているのはブルーノ・ワルター指揮による交響曲。
この人はフルトヴェングラーなどに並ぶ大指揮者で、
いまごろ聴いているのが恥ずかしいくらいに有名な人です。
ちなみに50年ぐらい前に亡くなっています。
私はどちらかと言うと、激しい演奏をする指揮者が好きなので、
ワルターのように美しく演奏をする人は、あまり聴く気になりませんでした。
それがひょっこりブラームスの交響曲第二番を聴いたところ素晴らしく、
以前から持っていたマーラーの九番を聴き直したところやはり素晴らしく、
それからレコードをまとめ買いしてきて、
「なんだ。こんなに良かったのか。こんなんならもっと早く」と反省しているところです。

まとめ買いといっても私の場合、中古品を買うのがほとんど、
しかも未だCDよりレコードを愛好するもので、
一枚数百円というものを何枚も買ってくるのですね。
場合によっては、5枚で千円なんてものもあり。
しかし日本のレコードマニアと言う人たちは、
買ってもすぐにカセットに録音して、そちらを聴いていたので、
中古のレコードでも、
実は幾らも針を落としていないというのがほとんどですから、
音が劣化して聴けたものではない、と言うことは皆無です。
貧乏人にはありがたいことです。

いや、しかし私は、
いまだにCDよりレコードの方が音がいいなあと思ってしまうものです。
確かにノイズはありますが、音自体の広がりとか奥行きとか生々しさとかが、
レコードの方がずっと優れているように思えます。
音にはっきりとした手触りがあるのですね。
感じとしては、歯応え、と言ったほうがしっくりくるかもしれません。
特に弦楽器の、あの弦と弦がこすれあう感触なんかが、とても気持ちいいのです。
CDではそれが滑らかに磨かれすぎているようで、
数値的にはいいのかもしれないけれど、味気なくてつまらないのですね。
それに中古なら安いし。

ワルターの録音は、50年代後半のものであるにもかかわらずステレオです。
この頃のレコード会社は、みな凄腕の録音技術者を抱えており、
音質は、今年録音されたものと言われても納得してしまうほどにいいです。
各楽器の響きは勿論、楽器が鳴っていない空間にも、
音の粉がふわふわきらきらしているのが見えるよう。
この快楽が一枚200円とは…。
つくづく時代遅れの人間にとってはいい時代です。

それと、これはCDですが、
ロシアのピアニスト、アナトリー・ヴェルデルニコフのベートーベンピアノソナタを
よく聴いています。
特に後期三大ピアノソナタと、29番のハンマークラヴィーアは素晴らしい。
思い切り魂がこもった演奏、情感が雨だれのように流れ出してきて、
この曲の演奏では一番好きです。
ハンマークラヴィーアのアダージョは、通常の演奏よりずっとゆっくりに演奏していて、
それがえもいわれぬ程切なくて美しいです。
ソビエト時代の録音と言うのは、大体において非常に音が悪いのですが、
この演奏はモノラルながら、なかなかちゃんと録れています。
それ以前に演奏内容がとてもいいので、音のことはあまり気になりません。
現在は、「ロシア・ピアニズム名盤選」というシリーズのひとつとして、
DENONから一枚1260円で出ています。
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