Apr 05, 2006

いい陽気になってきたにもかかわらず

詩の世界では「ぽえむ・ぱろうる」が閉店になるわ、
「ミッドナイト・プレス」は休刊になるわで、
残念なニュースが多いですね。

とはいうものの、詩手帖の投稿欄を見ると、
新しい人は順調に育っているようです。
行替えのない長い詩が主流であった今年の投稿欄は、
私のような者には読みにくいものも多かったのですが、
個人レベルではみなそれぞれに試行錯誤を繰り返し、
自分のスタイルを模索している様子が垣間見られます。
最近の投稿欄を否定的に見る方も多いようですが、
投稿されている方は二十歳前後の若い方が多いようで、
するとこれからの人ばかりですから、
まだまだ捨てたものではないと思います。

私は他人の作品をどうこう言えるほど読む力があるわけではありませんが、
個人的には山田亮太さんと広田修さんが面白いなあと思ってみていました。
山田さんは、毎月激しく作風を変えてきますが、基本的な筆力のある方で、
それぞれの作品は高いレベルにまで押し上げられています。
4月号の作品はリズムのある、読んでいて気持ちのいい作品でした。
広田さんはスタイルは毎回ほとんど変わりませんが、やはり筆力のある方で、
幻想的な世界が綿密にしっかり形作られています。
4月号の佳作には森悠紀さんの名前があり、
作品名を見ると、先々月にPSPで見せてくれたものと同一のようです。
森さんは、私が投稿していたころから、作品をよくお見かけしていましたから、
もう長く投稿されており、しかしそのスタイルはかなり変貌を遂げています。
そういうところをみていると、みなそれぞれに、
必死に何処かへ到達しようとしているのだなあと思います。
他にも、静かに白い言葉が流れていく望月悠さんや、
それとは対照的に激しく言葉を撒いていく最果タヒさんなどが注目でしょう。
詩手帖賞を取りそうなのは、ここらへんの方でしょうか。

こういう方たちが彷徨の末にどこかに辿りつき、
吸引力のある作風を身につけて世に出て行けば、
また詩の可能性も広がっていくのではないでしょうか。
長く停滞してきた現代詩の世界ですが、
そろそろ新しいムーブメントのようなものが起こってもいい気がします。
私自身の作風は寧ろ近代詩に近いものですので、
そんなムーブメントとは無縁となるでしょうが、
私もやはり自分の作風を絶えず模索し高めつつ、
若い人たちの動きを眺めて行きたいと思います。

しかし「ミッドナイト・プレス」などの詩誌が減ってしまえば、
新しい人の作品が、不特定多数の目に届き難くなりますし、
詩を専門に扱う本屋さんが減ってしまえば、普通の本屋さんは、
やはり確実に売り上げが見込めるベテランの詩集をまず置きたがるでしょうから、
新しい人の詩集は置かれにくくなってしまうでしょう。
ここらが一番悲しいところですね。

現在、詩人和合亮一さんが中心となる「ゼロネンダイプロジェクト」が、
水面下で緩やかに進行中ですが、この動きが新詩人の誕生に貢献できればと思います。
そのような状況を作ることは、現状を見ると大変に厳しいでしょうが、
ゼロプロのスタッフには若い人が多く、また行動的な人も多いので、
私なりに可能性を感じています。
Posted at 00:44 in n/a | WriteBacks (4) | Edit
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