Sep 25, 2005
しかしこのブログ、
どんな人が読んでくれているのでしょうか。カウンターは相変わらず一日に10ぐらいしか進みません。
灰皿町やPSPの方々が定期的に覗きに来てくれているようなのはわかるのですが
他にいるんでしょうか読んでくれている人。
もしいるならトラックバックに何か書いてくれると嬉しいのですが。
まあ軽く読んでいってもらうだけで充分嬉しいんですけどね。
では今日は光岡明という小説家のことを。
といってもこの小説家自身のことは殆ど知りません。
何しろ去年の暮れに亡くなられたことさえ、つい最近ネットで知ったという体たらく。
しかし作品は大好きです。
特に短編。
私が最初に読んだのは97年に「文学界」に載った「鯔涙」という作品でした。
主役がボラとカレイという特異な設定で、それだけでも面白いのですが、
彼らが陸上での人間たちの騒動を聞きながら、海の底で哲学的な会話をする様子は
なんとも言えず引き込まれてしまいます。
この人は中篇や長篇では、言ってみればごく普通の設定での展開なのですが、
短編になると、とたんに変わった題材を持ってきます。
「行ったり来たり」という作品では、主役が川に棲む得体の知れない妖怪だったりします。
ちなみにこの作品は傑作です。
ちょっとジブリっぽくもあったりして、もっとちゃんと紹介されてさえいれば、
文学好き以外の人にも広く読まれていたのではないでしょうか。
そう思うと残念です。
このような特異な作品は、比較的最近、九十年代以降に書かれたものですが、
その発表数は決して多くありませんでした。
私は「鯔涙」を読んでからというもの、光岡氏の過去の作品を古本屋で探し回りながら、
新作を首を長くして待っていました。
そしてあんまり待ちすぎてすっかりくたびれてしまったところへの訃報でした。
こういう面白い作品をもっとたくさん読ませて欲しかった。
返す返すも残念です。
光岡明さんの本は、その大部分が入手困難です。
手に入りやすいのは、「薔薇噴水」という中短篇集。
これには前出の「行ったり来たり」の他、「山のおじ」「カッパ紀に」「難聴頭巾」という
タイトルを見ただけでも面白いとわかる短篇が収められています。
他は直木賞を受賞した長篇小説「機雷」が比較的手に入り安いでしょうか。
これは太平洋戦争末期の海軍中尉を主人公に据えた、男臭くて渋い作品です。
「鯔涙」は単行本には収録されず、「文学1998」(講談社)という短篇アンソロジーに
かろうじて収録されています。
あとつい最近、遺作となった「恋い明恵」という作品が文芸春秋より刊行されました。
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