Dec 04, 2005

おや、

灰皿町にはもう雪が降りましたか。
ここでなら間違いなくホワイトクリスマスですね。

もうじきジョン・レノンの命日です。
なんだか最近死んだ人のことばかりですね。
私はこの時期になると、ジョン・レノンとボブ・マーリーばかりを聴くようになります。
命日だからというのではなくて、
この二人の音楽は、日本の冬の空気にとてもよく合っているように思うのです。
ボブ・マーリーはレゲエですが、日本のじっとりした夏に聴くと、余計暑苦しくていけません。
レゲエは実は、乾いた空気が似合うのですね。
ジョンの声もそんな気がします。

私はリアルタイムで生きているジョン・レノンを知りません。
かろうじてリアルタイムの体験といえそうなのは、
彼が死んだ当時録音されていた「ダブル・ファンタジー」と言うアルバムのアウトテイク集である
「ミルク・アンド・ハニー」が、確か1983年ごろに発売され、そのアルバムからシングルカットされた
「ノーバディ・トールド・ミー」という曲のプロモーション・ビデオを、テレビの、
恐らくベストヒットUSAで見た事です。

本来オクラ入りになるはずだった曲ですから、当然ビデオはその曲のためのものではなく、
在りし日のジョンの楽しげな映像を繋ぎ合わせたものでした。
この曲のサビで生前のジョンは、「こんなことになるなんて、誰も教えてくれなかった」と連呼します。
その言葉が自身の未来を予見していたようで、中学生の私はとてもどきどきしました。
不思議なことってあるんだなって思いました。
オカルトなどは当時も今も信じませんが、
たとえ偶然にしろ、奇跡のようなことってあるんだと思いました。

それがいけなかったんですね。
その後私はそういうことばかりを、色々な場所や場面に探していたように思います。
現実が偶然に、まるでずれているとしか思えなく見える瞬間。
現実世界では、それこそ偶然に起こるのを待つしかありませんが、
音楽や文学や美術の世界では、あたかもそんなことばかり起こっているようです。
魔力というのでしょうか。
あちこち探し回っていると、突然奇跡のような言葉や旋律や色彩に出会って、
あのときのようなどきどきがまたやってきて、
私の内側をぐりっと変えてしまったことが何度かありました。

こういう作品は、作ろうとして作れるものではなく、それこそ偶然に出来てしまうのでしょう。
そういうことが出来る人のことを、天才と呼ぶのでしょうか。
そしてたとえ天才であっても、そういうことができるのは人生のうちで、
そう長い期間ではないようです。
ジョンはあれ以上長く生きても、恐らくもう、そういうものは作れなかったと思います。
早死にしたロックスターやアーティスト、前回書いた三島由紀夫にしても、
やるべきことをすべてやってからの死だったように思います。
芸術に身を丸々捧げてしまった人たちですね。
私は丸々身を捧げられなど出来なくて、片足の先っぽだけ突っ込んだまま中途半端に生きて、
中途半端に長生きしてしまっている途中です。
と、前回と同じようなところに辿り着いたところで、今日は仕舞いにしておきます。
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