Sep 29, 2006
弟の個展
今日デイケアから帰ってきて、しばらく彼女の帰りを待っていたら、小さな疲れがやってきた。ここ3日くらいずっと、仕事や何かで外に出ていたので、気の疲れが出ていたようだ。風呂から上がって、今現在は、マシになっている。それで今日は私の弟の個展を見に、谷町6丁目のギャラリーそらに行ってきた。題して「いしかわたけしごと」。いつもうまい題名をつけるなあと感心してしまう。
それはともかく、私は「本性」という2分連作(写真はそのうちの一つ)に引きつけられた。本性を隠しているようにもみえる顔の絵なのだが、本人の顔なのだろうか、好きな人の顔だろうか、嫌いな人の顔だろうか。もっと普遍的なものを感じた。それでいて、たぶん誰かではあるのだ。顔だけ描くというのは不思議な行為に思えてくる。弟の作風はどんどん変化するのだが、ここ数年は淡いタッチで、悲しみや、もっと深い感情を描いていた。今回は鋭い線が強く出ている。しかし、いずれにしてもポップといえるだろう。「顔って不思議やね」と話しかけたくなる。それでいて、突き放す強さを持っている。顔はいつだって両義的なものだと物語っているようだ。私たちは顔を見るだけではなく、顔を誰かや何かにさしむけている。見られ、感じられている。そして、顔は暴露し、隠す。隠すことで何かを訴えている。描くことで、それに近づいては遠ざかる。そうだ。それが「描く仕事」であり、「隠し事」であるかのように。「いしかわたけしごと」は小さな個展でありながら彼のまる「ごと」も少しは覗けるのではないか。作品とはそういうものかも。彼はどんどん大人になっているが、何かを覗いている少年のようだ。個展は明日で終わりです。
猫月亭さんと話していたら、村上春樹の話になり、これまで、彼の小説はほとんど読んでいたのだけれど、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」をこれまで読むきっかけがつかめなかったと私は云った。いい機会なので読んでみようかな。
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