Sep 19, 2006
うたと喪の時間についてースガシカオ「PARADE」
スガシカオ「PARADE」を聴いている。なんかすごくさらっとしている。明るくなっていて一瞬戸惑った。以前「プロフェッショナルー仕事の流儀」に彼が出ていて、ここ何年間か、父や親友が亡くなってきつかったと言っていたのを思い出した。そういうことは歌われていないが、彼が時間というものについて、かなり考えて、そこから抜け出したんだなと思った。(前のアルバムはTIME)新しい境地を手にした感じだ。というのは「タイムマシーン」という歌でうたわれているが、僕もタイムマシーンなんてなくてもいいと最近思ったのでシンクロした。過去のことがよみがえってきて、私たちは苦しめられる。やり直したいと思う。しかし、「タイムマシーン」があったって、救いがない。彼はこう歌う。"あの夜死んでしまった あいつに会いたいけど/もう一度死ぬとこなんて見たくもない"これにはユーモアすら感じる。彼は死者を大切に思っている。それと時間を飛び越えてもう一度会うことは、ちがうのだ。起こったことの大切な一回性を奪ってしまう。僕がアニメ版「時をかける少女」を見て思った感じとよく似ているのだが、「時かけ」よりも、深く考えられている。というのは、本当に帰ってこないということが歌われていて、それが瞬間、出会いを大事にするというメッセージにつながっているからだ。喪の時間を過ごしたからこそ出てくる言葉がある。”死んでしまった奴より 生きたいと願え”(Hop Step Dive)これほど倫理として強い言葉がスガから出てきたことに驚いている。深い気持ちからだ。「Progress」はNHK版よりいい気がした。彼は深い闇の中から一歩光のほうへ踏み出そうとしている。"世界中にあふれているため息と/君とぼくの甘酸っぱい挫折に捧ぐ…”あと一歩だけ、前に進もう”"
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