Nov 07, 2009
落としてしまった花のリング。
あめの日。
翌日になって帰った道を逆戻りに探したけれど、見つからなかった。
見つからないものを探すのが下手なんだろう。探偵学校へ行きたかったけれど、見込みなさそう。
今日、
アラビア語を習っているひとが職場へ来た。あの、へなへなした文字を読めるだけですばらしい。アラビア語を習っているひとは、わたしを友人のように扱った。友人のように扱われるとこちらもそのようになるものですね。延長料金はいただけない。
いってらっしゃい、と、ドアまで見送る。
ありがとうございます、と見送るときと、
いってらっしゃい、というときとが、
あるのに、しばらく前から気付いていたけど、区別の根拠はじぶんにも不確か。
定かでないじぶんやたにんの感情の動きを、追うことも、ひとつの趣味。趣味でもないと。
いもうとから、久方ぶりに携帯メール。気にしていると来るものですね。そろそろ来るから気になるのか。いつまでもいもうとはいもうとのまま、髪を切ってあげていた、江戸川乱歩の本を読んであげていた、勉強を教えてあげていた、まだ何も起こらなかったときのまま。あかちゃんみたいに、また戻っていくのかな。読んでいるとじぶんがまだ中学生ぐらいでいるような変な思いになる。
いってらっしゃい
たくさんのひとを見送って、
しりぞく部屋は、中学の木造の教室のような。同級生の顔が驚くほど鮮明に浮かんでくる。この感覚はなんだろう。暗くてもまだ何も起こらなかったとき。ささいなことで激しく悩み、クラス替えで一喜一憂、ブリっこしたり告白したり、性欲をもてあまし自己嫌悪、先生に何か望んでみたり内心あきらめていたり。それはそれとして確かだったのは、みな死にそうになかった。
帰りたいわけではないけれど、
時間を意識したからなのかな。
落としたリング、別の時代でまた落とす。決められた道を押されていくだけ。すこしだけあらがって、がんばって、すこしだけずらしてよしとする。でもそれも前にやってたことかも。これは趣味の話。