Apr 24, 2009
桜さくらサクラ・2009―さようなら、千鳥ヶ淵―
(奥村土牛・醍醐)
すでに23日午後の「千鳥ヶ淵」は桜がすべて散っていました。快晴の空の下、水辺の美しい新緑の並木道を歩いていると、桜の蘂が敷き詰められている道は足裏にやわらかく花の終わりを伝えていました。そこを歩いて「山種美術館」に行ってまいりました。そこには「桜」の絵画50点が待っていてくださったのでした。
さまざまの事おもひ出す桜かな 芭蕉
遠い昔から、誰にでも「桜」の思い出はあるでしょう。その思い出がたった1人で抱えあたためるものであったり、共有者がもう1人いたり、多くの人々との共有であったりと、さまざまなものとなるのでしょう。
さらに絵画の魔術は、山一面の桜を一斉に咲かせることさえできること、また一輪一輪を丹念に描き出し、さながら浮き彫りのごとく桜を見せることさえ出来るのだと思うのでした。
(橋本明治・朝陽桜)
(川端龍子・さくら)
山種美術館が千鳥ヶ淵に隣接していたことから、千鳥ヶ淵に因んで「桜」をテーマにした展覧会は、毎年行われていました。しかし、今年10 月に広尾への移転にともない「桜さくらサクラ展」も最終回だそうです。リクエストの多い桜を描いた作品を約50 点を展示して、最後の「桜さくらサクラ」美術展でした。このくらいの作品数が1回の美術展では、とても適当な点数だと思いました。それからテーマが統一されていることも、大変に心休まる展覧会でした。
主な出品作品は、以下の通りです。
菊池芳文《花鳥十二ヶ月》
渡辺省亭《桜に雀》
川合玉堂《春風春水》
菱田春草《桜下美人図》
小林古径《清姫・入相桜》
土田麦僊《大原女》
奥村土牛《吉野》《醍醐》
小茂田青樹《春庭》
速水御舟《夜桜》
東山魁夷《春静》
守屋多々志《聴花(式子内親王)》
石田武《千鳥ヶ淵》
加山又造《夜桜》・・・・・・・・・ほか約50点 でした。
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