Oct 22, 2007
フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展
二十一日午後、六本木の国立新美術館で、「『フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展』を観てきました。この美術館は今の日本では一番新しい美術館でしょう。建物の規模も大きく、警戒も厳重なところでした。「国威の建造物?」という説も(^^)。十七世紀オランダの市民や農民の生活を描いた「風俗画」というよりも「日常画」と言った方がふさわしいのではないか?と思われる絵画がまとめてみられる展覧会でした。全体の絵画のサイズが小さいのも特徴でしたね。
これは、オランダという国は庶民には比較的豊かな生活がありましたので、これらの絵画は特権階級ではなく、庶民が買えるほどの絵画だったということもありますね。そんなことを思いながら、それぞれの絵画を観てゆきますと、何故か懐かしい思いがします。「針仕事」「糸繰り」「料理」「授乳」「酒場」などなど、身近な自分のからだが体験した風景のようでした。
フェルメールは「牛乳を注ぐ女」一点だけの展示でしたので、ちょっと淋しい。でもどのような絵の具が使われたのでしょうか?工夫された証明のなかで、画面の金色の粉のような光沢がきれいでした。
これらの絵を観ながら、しきりに思い出していたのは、小田実の「中流の復興」に書いてあった一文でした。ここに再掲しておきます。
『私は世界のいろいろな国に行くたびに、外国人、とくに差別されたり抑圧されたりしている外国人がその国をいかに受け止めているかが、一番大きな指標になると思って、オランダでも、肌の黒い人など、普通ならすぐに差別されたり抑圧されたりする対象となる外国人たちに聞いてみるのです。すると、多くの人が、この国が一番いい国じゃないかと、と言います。(中略)
理由は一つあります。まずオランダの人たちが、私の言う中流の暮らしの土台を形成していることにあります。経済的な問題を解決せずに政治的な問題をせっかちにやると、強制力を伴ってかつての社会主義のようにもなるけれど、普通に人間が中流の暮らしを形成していれば、生活にゆとりができて、その上で政治的な問題が解決できるようになるでしょう。』
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