Sep 02, 2007

三木成夫記念シンポジウム

miki

 九月一日、東京芸術大学において、生物学者三木成夫のシンポジウムに行ってまいりました。この会は十六回目にあたりますが、今年は三木成夫没後二十年にあたるそうです。午前十時から午後四時半まで、総計六名の講師によるシンポジウムでしたが、午後のみの聴講を致しました。ちなみに講座スケジュールは以下の通りです。

 10:10-10:50 西原克成(西原研究所) 「内臓が生み出す心」
 10:50-11:30 宮木孝昌(東京医科大学) 「臍(へそ)のはなし」
 11:30-12:10 坂井建雄(順天堂大学) 「魯迅の「藤野先生」で書かれなかったこと」

  (昼食)

 13:40-14:20 植田工(デザイナー)「ピノキオと三木生物学」
  14:20-15:00 中村るい(東京芸術大学)「ギリシャ美術の身体イメージを読む」

  (コーヒーブレイク)

 15:40-16:30 三木桃子 「三木成夫の思い出を語る」聞き手:後藤仁敏

 「ピノキオと三木生物学」は、植田工さんの芸大大学院の卒業論文となったものが再現されたようです。植田さんは今春卒業したばかりの若者でした。彼の基本テーマは、「ピノキオ」を例にとって、アニメのキャラクターの形態の造形のプロセスのなかで、作り手の心になにが起きて、どのような形態を目指しているのか?ということを、三木生物学との照合から探ってみようとしたのでしょう。
 そこで「アニメには生殖によっていのちが生まれないのだ。」という彼の発言がありました。わたくしは内心では「若いなぁ~。」と苦笑しました。ゼベットおじいさんには子供がいなかった。そこへの着眼がないのですね。「おやゆび姫」も子供のいない家に授けられた。それは妖精からの贈り物ではないですか?日本のお話なら「桃太郎」「かぐや姫」などなど。。。

 中村るいさんは、かつて三木成夫の芸大時代の教え子にあたる。「ギリシャ美術の身体性」を、三木生物学に重ねようと試みたのだろうか?筋肉の描かれ方と内臓との関係、重心の置き方によって変わる肉体表現などなど。。。

 最後は、没後二十年を記念して奥様の桃子さんが、映像を見ながら、インタビューに答えるかたちで、若き日の三木成夫との出会い、結婚、子育てについてお話くださった。とても美しくかわいい女性でした。三木成夫との年齢差は十五歳もあったのですね。
 十五歳の桃子さんに「二十歳になっても気持が変わらなかったら結婚して下さい。それまでは、あなたは自由です。」とおっしゃったそうです。無事結婚なさってお二人の子供に恵まれましたが、子供の成長は三木にとっては、楽しい生物学研究だったようですね(^^)。とても心あたたまるお話でした。
Posted at 22:10 in nikki | WriteBacks (0) | Edit
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