May 14, 2006

詩人の目―大岡信コレクション展

06-5-13komai-art
(駒井哲郎・岩礁にて「At Rock Seashore」・一九七〇年)

 これ↑は、展示作品のなかでわたくしが一番好きな作品でした。

 十三日は寒かった。さらに雨と風。心がけの悪い奴等(?)だ。
 しかし約束通り三鷹駅で待ち合わせて、駅前の三鷹市美術ギャラリーへ「詩人の目―大岡信コレクション展」を観にゆきました。美術館が駅前にあるというのは市政の心根の良さを感じますね。埼玉県の草加市(だったかな?)では駅前に大きな図書館があって「いいなぁ。」と思ったこともありましたが。。。

 一九五六年、大岡信は「美術評論・パウル・クレー」を書いたことから出発して、一九五九年、(この時、大岡は二十八歳。)かつて日本橋にあったという「南画廊」において、さまざまな美術家と出会うこととなり、その歳月のなかで蒐集された作品の紹介であった。作品が予想以上に多かったことに驚きましたが、一点づつ割合丁寧に観ました。

 それは大岡信の詩に触発されて描かれた絵や作成された立体的な作品であったり、絵に触発されて書いた大岡信の詩で(直筆もある。)あったり、あるいは本の装丁であったり、というような作品が多かったので、詩に関わる者としてはとても楽しいものでした。大岡信の交友関係の広さにも驚かされましたが、夢みたいな詩と美術との交歓はつくづくと羨ましい。ただし抽象的な作品ばかりですのでわたくしには作品の評価は皆目わかりませぬ。好感か不快かで分ければ「不快」な作品はなかったと思います。また、俳人との「書」による連詩(連句?)の試みなどもありました。

 「絵本詩集」を試みたり、「連詩」や「相聞」などを試みることに大きな興味があるわたくしとしては、この「贈答」の作品たちに心動かされることが多いのでした。またいつか新しい詩集を作ることなどを想像しながら観ていますと、さらに夢はふくらみます。予想以上に楽しかったです。

 もちろん南画廊主から「これは詩人の大岡が持つべきだ。」と言われて、大岡自身が購入した高価なオディロン・ルドンの銅版画九点などもありました。これは、シャルル・ボードレールの「悪の華」の挿絵となった作品でした。

 その後は荻窪に行って、「ささま書店」で古本あさり。これも見ていればきりがない。買うには書棚と経済との限度というものがある。雨だから書籍が痛むだろうし、すでに頂いた詩誌や三鷹ギャラリーで買った画集が重いしで、悩みつつ最低限に抑える。お初の下見なのだからまた行けばいいのさ。。。
Posted at 14:56 in nikki | WriteBacks (2) | Edit
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