Jan 21, 2006
父の顔
「ガラスの使徒」を観た帰りに、山手線の電車のなかで、わたしは一瞬立ちすくんだ。亡くなった父とそっくりの顔立ちの男性がこちらを向いている。笑顔のように見えた。その人はまるで、あの世の父の笑顔だけを首の上に載せて、そこに立っているようだった。世の中には似た人は三人いるという説を信じてもいいかもしれない。その男性はからだの向きを変えて、父はもういなかった。断言するがわたしは「ファザー・コンプレックス」ではない。しかし父の精神の強靭さと、看護するわたしへの思いやりを最後まで通した男だったと、亡くなってからわかった。
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