Jan 14, 2009
バティニョールおじさん
監督:脚本:ジェラール・ジュニョ
制作:2002年
《キャスト》
バティニョールおじさん:ジェラール・ジュニョ
シモン:ジュール・シトリュック
この映画は、1942年夏に、ナチス・ドイツ軍の手中に堕ちたパリを舞台に展開する 「ユダヤ人狩り」をテーマにしたものです。こういう映画や著作物に遭遇した時に、 いつも思うこと。人間は、その存在の尊厳や生死に関わるような究極の状況にある時 に、初めて見えてくるものがあります。それは「愛とはなにか?」「勇気とはなにか ?」・・・・・・と言うような根源的なものです。
肉屋兼惣菜屋を営む平凡な主人公「バティニョール」はナチス・ドイツを支持する 娘婿、計算高い妻などに囲まれた、こころもとない中年男ですが、後半では命がけで ユダヤ人の子供たちをスイスに逃亡させる手助けをする勇気ある男となっていくというス トーリーです。
ドイツ軍はフランス国民に対しユダヤ人の一斉検挙を要求する。ユダヤ人外科医で あるバーンスタイン一家は隣人「バティニョール」の娘婿の密告によって検挙され、 「バティニョール」は心ならずも摘発に協力してしまうことになる。このドイツ軍に 対する協力がもとで、軍に没収されたバーンスタイン家の大きなアパートもバティニ ョール家に譲られることになった。
しかし、バーンスタイン家の息子である12歳の「シモン」と、その従姉妹「サラ」 と「ギラ」は親を失いながらも、検挙の手を逃れることができた。この3人の子供たち をスイスに送り届けることが「バティニョール」の大きな人生の仕事となったのでし た。その危険極まりない旅の資金となったものは、バーンスタイン家から没収された 「ルノワール」の絵画だったのでした。
「バティニョール」と子供たちの、ドイツ軍からの苦しい逃亡の旅は命がけであり 、スイス国境を越えるまで、勇気と知恵を幾度も試されるのでした。「バティニョ ール」は子供たちをスイスまで送り、自らは帰るつもりでしたが、子供たちと一緒に スイス国境を越え、数年を共に暮しました。
* * *
「バティニョール」を演じるベテラン俳優ジェラール・ジュニョが、監督&脚本も手掛けています。かねてからこの時代に興味を持っていたジュニョ自身が膨大な資料蒐集とリサーチを続けて完成させた映画です。「あの時代に自分が生きていたらどういう行動をとっただろうか?」という問いかけに対する彼自身の答えがこの作品となったそうです。
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