Aug 06, 2008
オリバー・ツイスト
製作年度: 二〇〇五年
監督:ロマン・ポランスキー
原作:チャールズ・ディケンズ
オリバー・ツイスト:オーディションで選ばれた十二歳のバーニー・クラーク
舞台は第一次世界大戦後のイギリス。九歳の戦争孤児「オリバー・ツイスト」は救貧院で労働に従事していたが、夕食の席で「おかわり」を求め、救貧院を追放されてしまう。奉公先でも理不尽に虐められ、遂に飛び出す。放浪の旅の末、ロンドンにたどり着き、倒れた彼を助けてくれたのは、元締めの老人と暮らす少年スリ集団だった。彼らのアジトに温かく迎えられたオリバーは、初めて家庭的な温かさを知るが、盗みや万引きに馴染むことはできない。汚い服や靴、暗く汚れたアジト、そうしたなかで「オリバー・ツイスト」の顔立ちはいつでも白く美しい。この環境では生きられないことを主張するかのようでした。
そんなある日、偶然に書店主の老人に出会い、助けられ、面倒を見てもらうことになる。しかしまたアジトに連れ戻される不運もあったが、命がけで密告したアジトの女性のおかげで、アジト全体は警察に包囲されて、「オリバー・ツイスト」には、書店主の子供としての幸せな日々がようやく訪れる。明るい庭で読書する少年の姿は美しい。この風景のなかに坐るために生まれてきたような少年だったのではないか?一人ぼっちの少年が生きてゆくことは危ういこと。しかしそれを支えたのは大人たちでありながら、そのもっと根底にあったものは「オリバー・ツイスト」の汚れのない心ではなかったのか?
* * *
この映画を観ながら、ふと「これはチャールズ・ディケンズの自伝ではないか?」という思いがうかび、調べてみましたが、やはり彼も困苦の少年時代を送っていたようです。「チャールズ・ディケンズ・一八一二~一八七〇) の家は中流階級の家庭であったが、父親ジョンは金銭感覚に乏しい人物であり、母親エリザベスも同様の傾向が見られた。そのため家は貧しかった。濫費によって一八二四年に生家が破産。ディケンズ自身が十二歳で独居し、親戚の経営していたウォレン靴墨工場へ働きに出される。
さらに借金の不払いのため、父親がマーシャルシー債務者監獄に収監された。家族も獄で共に生活を認められていたが、ディケンズのみは一人靴墨工場で働かされ、しかもこの工場での仕打ちはひどく、彼の精神に深い傷を残した。「チャールズ・ディケンズ」の前期の作品では、主人公は多く孤児であり、チャールズの少年時代の体験が影響している。
晩年の作品は、次第に社会的要素に取り組んだ、凄惨な作風へと変化していく。一八七〇年「エドウィン・ドルードの謎」を未完のまま死去。
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