May 17, 2007
ストリングス~愛と絆の旅路
監督:アンダース・ラノウ・クラーランド(デンマーク)
日本語版監督:庵野秀明
脚色:長塚圭史
配給:エイベックス・エンタテイメント+ジェイ・ドリーム
制作:ジェイ・ドリーム
ストリングス(strings)とは弦楽器のことであり、(string)は弦の意味です。このタイトル通り、映画はあやつり人形を使ったドール・ムービーでした。そしてさらにこの(strings)とは、この映画の大きなテーマ「愛と絆」ともなっています。ここに登場する人間(人形?)たちは、生まれた時(それはあたかも、願いを込めてピノッキオを作ったジェベットおじいさんの思いに似て。)、天から降ろされる紐(弦あるいは絆)を手足や頭に繋ぐことによって、はじめていのちを吹き込まれるのです。ですから「死」とはこの紐を切られるということになります。それぞれのいのちは天に守られているということです。ここが、今までのあやつり人形劇には見られなかった視点と言えるかもしれません。
しかし、天から降ろされるこれらの膨大なあやつり紐は、絡み合えば、地上の人間の混沌を生むことにもなります。この映画の制作過程もデンマークで一旦出来上がって、カンヌ映画祭で上映されて、それを観た庵野秀明監督が「ジャパン・バージョン」編集したという経緯があります。この経緯によって、観る者は物語の筋道にわずかに迷うことになるのです。
物語の舞台は権力争いの絶えることのないへバロン王国。国王カーロはそれを嘆き、王子ハル・タラに国の平和を託して自害しますが、それは反国王派による暗殺であるという誤解によって、王子も観る者も混乱と殺戮とに向かってしまうのです。王子の妹ジーナ姫は幽閉の後紐を切られます。そして戦いの旅で出会い、王子が愛する異民族の娘ジータの住む豊かな緑の森が焼き払われ、多くの戦死者が出たあとでやっと戦いの日々は終わります。神の絆では守るきることのできない地上の平和の困難さを観る思いです。
映画館を出た後に見た、うつくしい夕焼け。天の紐は見えません。。。
この映画は五月十五日、さいたま新都心駅前の「MOVIXさいたま」という映画館で観ました。この「MOVIX」を都心周辺地で見かけるようになったのは最近のことのように思います。たとえば新しい電車の路線が出来る、そして新しい駅が出来る、その駅に大きなショッピング・モールが展開される。そこに参入しているのが、どうやらこの「MOVIX」のようです。一五〇人から二〇〇人ほどの座席数のある映写室が十数室並んでいて、それぞれの映写室でそれぞれの映画を選んで観られるというシステムです。上映期間もいわゆる今までのロードショウのように長くはない。おそらく映画フィルムが映画館を回るというシステムではなく、巨大DVDなのでは??
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