Jul 07, 2005
ハリー・ポッターと賢者の石
この映画は2001年に作られている。この頃のわたしはどんなふうに生きていたのだろうか?と思ってみた。たしかこの映画の大きな看板(だったかな?)を新宿で見た記憶はある。「観たいな。」と思った記憶もある。本も拾い読みをした記憶はある。しかし、そのまま時は過ぎた。わたしは変わっただろうか?実は少しも変わっていなかったと、この映画が教えてくれた。
わたしにとってこの映画を観ることは「不安」の連続だった。その「不安」をこの魔法学校の少年少女たちは「勇気」とか「友情」とか「正しさ」とか「愛」に、それとは気づかずに導かれながら一つの生き方を掴んだのだった。そして晴れやかに新しい出発の列車に乗ったのだった。
しかしわたしのなかには「不安」だけが、産まれ出ることのない胎児のように残った。それは多分ハリー・ポッターの年齢だった頃から続いていること。いまさら始まったことではないが、それを眠っていた子供を起こしてしまったように、この映画が呼び戻したというだけだ。生きる「不安」は深く、砂の寝台のようなものだ。
2001年は母を亡くした年だった。すでに父は逝き、姉も逝ってしまっていた。なんだかとても辛い仕事をしていたような記憶もある。生きていることが、スカスカに寂しく頼りない時期だったような気憶もある。話題の映画を観ようと思う時期ではなかったようだ。
うむ。映画の感想がないな。魔法学校の少年少女たちの美しかったこと。「不安」を「勇気」や「友情」によって突破したことのまぶしかったこと。そして「愛」「限りあるいのちのいとおしさ」という基本命題のようなもの……かな?無論これを軽んじるつもりは絶対にない。
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