Jun 29, 2005
ドッペルゲンガー(ドッペルゲンゲル)
先日、知人が妙なことを言い出した。「自分は老人性鬱だ。」と言う。ここ数日、同じ夢を見るとも言った。その夢とは、自分がデスクに向かって仕事をしていると、その前にあるのは白い壁だけなのに、そこに必ず少年が現われるのだと言う。金髪で青い目をした美しい顔立ちだが、プラトンの顔立ちに似ていて角張っていて、名前は「ドビルゲン」と名乗ったと。それ以外の言葉はドイツ語に似ているが意味をなさない。知人はドイツ語ができるはずだが。こちらが話しかけていることはその少年にはわかるらしいのだ。知人は「あの少年は自分の分身ではないか?」つまり「ドッペルゲンガー現象だ。」というのだ。
ドッペルゲンガー。ドイツ語では「Doppel ganger=分身。自身の姿を自分で目にするという幻覚現象」という意味。「ドッペルゲンガー現象」とは、自分の分身に出会うと死ぬという意味があるそうだ。ゲーテは大学生の頃に、このドッペルゲンガー体験をしたが(おそらく肺結核闘病中の時期ではないだろうか?)、八十三歳まで長生きした。。最期の言葉は「もっと光を!」。芥川龍之介の死因にも諸説あって、その一つがこれではなかったろうか?という説もあるらしい。芥川は三十五歳、夭折であった。遺書には「ぼんやりした不安」の一節あり。
自らを「鬱」だと思う人間は、それをカウンセラーでもない人間が聞き役をした場合、相手も「鬱」に放り込まれるのだということには気付かない。しかし、これをメモしたわたしは一体なんだろう?とも思う。
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