小さな人形
南原充士
ここに 小さな人形がある
ふしぎなかたちをした 小人のようだ
それがなぜか 調子はずれの音を出す
わたしの胸が きりきりと痛むときに
それはまた こきざみにふるえる
空の彼方からやって来る 微弱な電波を
とらえるシステムが 内蔵されているのだろう
なぜか わたしの頭の芯が 痛むときに
それはまた かすかな光を発する
蓄光石のように 暗い夜の行方を
わたしの先に立って 照らしてくれる
ときには 遠い過去から 数々の思い出を運んでくる
わたしが力尽きて 崩れ落ちようとするとき
それらは 無数の涙となって わたしを濡らす