願い、恋心はかなく(歌曲、習作)

願い、恋心はかなく(歌曲、習作)

冨澤守治

思えば、あまりにたやすく愛は生まれ死んでいくもの
どれほどか、何度も繰り返してこころに問い詰め
それは自分ひとりにだけ起こったでもないようにと
問いかけ問い戻している

誰でも悩み苦しむ、またときめいたことをたくさん思い出すもの
愛はそんなもの、それほどのもの
ときめいて笑い合い楽しむ時間はほんの少しだけ
いつも短い間だけ

恋人よ、恋を歌うのであれば、その短い時間を逃してはならない
必死で恋心に酔って、狂ったまま私の胸のなかに来ておくれ
もう十分に悩み、恋焦がれた男のこころがここにあるのだから
私を恋する人が私が愛するひとになっておくれ

確かあの日、あなたは私の胸元で目を伏せていた
その場では尊大に振る舞うのも、それは私が男であるから
満ち溢れていたあたたかきもの、春の日の宵のいざない

あのかぜは いまも流れているものか
ふたり、みすぼらしい姿も愛の形か
あるいは幽(かそけ)きものか、それでよい