あいさつ 清水鱗造 透かし絵を覗いていると たなびく煙やにおい 生垣の間の路地など見慣れたものが うすく見える やにわに船が 前を通り その舳先が茶色にも 金色にも見え いずれにしろ 時間の経過とともに 輪郭がはっきりしてくる 今まで 通過するだけの積荷が 白い航跡を残しつつ 初めてこちらにあいさつを送っている