あんなダイアナゆきのコスモス

あんなダイアナゆきのコスモス

南原充士

(あたしね、だれとでも仲良くなっちゃうの)
 きみみたいのがこわいな

(でもからだのあちこち具合が悪くて・・・)
(お医者さんに行くたび叱られてるわ)

(え、健康そうなのに
このぴちぴちした肌なんてすばらしいのにね

ところで なにしてるのが楽しい?

(そうねえ、ぱーっと買い物するのなんかいいわ)
(だから、いつもお金がなくて・・・)

(ねえ、あたしをアイジンにしてくれない
 月に○○万円ももらえればいいわ)

うーん 考えとくよ

きみはほんとにかわいい眼をしている
ぽっちゃりしているところが また いいね

(ありがとう)
(ああ、歌が歌いたくなっちゃった)

それじゃ、ヒカルちゃんの歌 歌ってほしいな
でも、きょうはそろそろ帰る時間だ

(あら、残念だわ)
(また近いうちに誘ってください
 待ってるわ)

いいとも、きみみたいにめちゃめちゃ明るい娘(こ)は
大好きなんだ

ペンションへ行ってテニスをするのもいいね

(わあ、すてきだわ)
(きっと連絡してよ 楽しみに待ってるわ)

・・・さて、別れたら もう心は飛び始める
光は暗い空間を走ってゆき

ふと時計を見ると四十六億年は経っている
物質はさまざまな旅をしている

なぜ、あの娘はあんなに惹きつけるのか
ほとんど問う間もなく

人類が消え失せたあとの銀河系に
しかし 無限の素粒子は

リビドーだけはたしかに記憶しているらしい

(きっと、きっとよ)

何やら公式のようなものをつぶやいても
一度気づいたら

どうしようもなくつらいことがあって

ぼくたちはきつく抱き合うことになるのだ

(ナイス・トゥ・ミーチュー!)

ウォークマンを聴きながら

(ブティック)
           (コスメティック)
(エステティック)
       そして コスモス