跳ねる小鳥   竹内敏喜


 先日は『空白期』ありがとうございます。一読させていただき、素直に好きだと感じたのは「燃える森」「鳥」「竹の花」でした。詩集のどの作品も時間的変化が自在に作者の手でなされるので、なかなかそのペースをつかむのが簡単ではありません。そこに豊かな空間性を開く鍵があるのですから、まるで飛んで跳ねる小鳥を目で追うように言葉の意味をたどっておりました。
 その意味でも、空間というよりはちりばめられた色彩が記憶に残るといった印象です。しかしそれは明確な色でした。作者の生への愛しさが、自己への悲しみをにじませ、対象を純化させているのでしょう。美と呼ぶにはいささか形がしっかりしすぎていますが、叙情と見れば海のようにあふれています。

   2006年10月28日記