個人誌・同人誌情報
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●発行者のアドレス情報は管理人までメールでお問い合わせください。
同人誌『るなりあ』
共同誌『tab』
同人誌『ぱるなす』
同人誌『KO.KO.DAYS』
同人誌『Poem Rosetta』
同人誌『鶴亀』
同人誌『続「左岸」』
個人誌『ぶりぜ』
個人誌『Eumenides 2』
二人誌『薄紫の冬桜』
return
誌名「るなりあ」(同人誌)
発行者 同人三人(現在、発行者を定めていない)
連絡先 荻悦子
創刊年月日 1998年12月15日
発行間隔 年に2回
最新号の発行日 2017年10月15日(通算39号)
最新号の執筆者 氏家篤子
荻悦子 鈴木正枝
最新号の内容
詩6編 あとがき
詩誌の形態 A5版14ページ
配布形態 郵送(120円)
宅配メール便(80円)。
定価 300円 発行部数 100部。
バックナンバー
残部僅少。
次号予告
...
***
発行者コメント(趣旨)
故北村太郎のもとに集まっていた仲間の三人で始めた。
編集は輪番でやり、各号の詩の位置も順に巡る方式。
(情報記載・2017年10月)
窓のハンドル
荻悦子
ジャグジーを少し開けた
細い磨りガラス八枚が斜めになる
三温糖の色をして
日の光が滑り落ちてくる
ことを忘れ
ことに目覚める
砂岩のタイルに光があたる
羊歯そして
巻貝の生痕があり
色素が残り
点や線や染みになっている
水と火の過ぎゆき
人の罪深さを思い出させ
いつまでも私のものとならない時の雫
ハンドルをまたくるくる回す
細い磨りガラス八枚を水平にする
外と室内の空気が混じり合う
裸の根をさらして
天井から
小さい蘭が逆さに下がり
咲こうとしている
霧吹きで水を与えるのを
私は怠りがちだった
ぴんと張った硬い葉
光りがあれば
自らを養うことができる
瑞々しい蕾をふくらませる
硝子の厚みが八本の鋭い桟になり
視界を水平に細く区切った
雹を潜めて暮れかかる空に繋がれ
私はまだ何かを望んでいる
(「るなりあ」39号所収)
return
誌名「tab」(共同誌)
発行・編集責任者 倉田良成
創刊年月日 2006年11月15日
発行間隔 できれば隔月刊をめざす。
最新号の発行日 2010年7月15日(通算23号)
最新号の執筆者 後藤美和子 長尾高広
野村龍 石川和広 福島敦子 秋川久紫
タケイリエ 倉田良成
装画・和田彰
最新号の内容
詩9篇 散文1篇 あとがき集
詩誌の形態 A4二つ折り
配布形態 郵送など
発行部数 執筆者各々が自ら種本を
コピーして好き好きに送るので、確定しがたい。
創刊号は50〜60部前後か。
次号予告
...
***
発行者コメント(趣旨)
ウィトゲンシュタインではないが、像と現実、
コピーと実物ということにつねに自覚的でありたい。
またそういうこと(コピー工程等)をフルに利用した
雑誌づくりをめざす。
(情報記載・2010年7月)
沈丁花の旋律が
螺旋階段から滴り落ちる
黄色いQの
泡のような翼のかたまりと
切り取られた
薄桃色の歌とが弾け飛ぶ
傾いたプラネタリウムは
噴水の香りのなかに巧みに隠され
しっとりとした亡霊達が
壊れた蝸牛の心と 絶え間なくお喋りをする
野村龍「舞々」より
(「tab」23号所収)
return
誌名「パルナス」(同人誌)
発行者 石川道生
創刊年月日 1975年5月
発行間隔 不定期
最新号の発行日 2010年7月20日(通算9号)
最新号の執筆者 和田梓 関谷朔
Hajime Kikuchi 菊池肇 石川道生
菊池祐子 中原良樹 宮沢行子 甘利文明
Michiko Ishikawa 大谷正英 山田一郎
小野塚力 (K)
表紙デザイン/西山正記 扉画/こうの紫
最新号の内容
詩作品を主体に小説、エッセイ等も掲載。
詩誌の形態 A4変形、56頁
配布形態 郵送
定価 700円(+郵送料)
発行部数 200部
バックナンバー 7号在庫あり
次号予告 未定
***
発行者コメント(趣旨)
古くからの詩友3名(石川道生、菊池祐子、
菊池肇)で運営。
発行ペースはのんびりしていますが、その
分、息の長い、生涯付き合っていけるよう
な冊子づくりを心がけています。
(情報記載・2010年7月)
愁熄
菊池肇
誰もいなくなっても
犬は
滑るように
走っていく
1000年経っても
山は聳え
風は吹く
言葉がなくなっても
雲は
滑るように
流れていく
天高く
天使が翔んでいった
ような
祈りの秋
「点景二題」より
(「パルナス」9号所収)
return
誌名「KO.KO.DAYS」(個人誌)
発行者 長田典子
創刊年月日 2007年4月15日
発行間隔 不定期
最新号の発行日 2010年9月10日(第4号)
最新号の執筆者 吉田文憲(ゲスト) 長田典子
最新号の内容
詩 エッセイ
詩誌の形態 A5版 24ページ 手作り詩誌
配布形態 郵送または宅配メール便または手渡し
定価 送料のみ
発行部数 100部程度
次号予告 ・・・・
***
発行者コメント(趣旨)
詩誌名はサックス奏者チャーリー・パーカー
(1920〜1955)の『KO.KO.』よりネーミング
しました。
言葉と悪戦苦闘しながら楽しくてスリルのあ
る詩の世界への挑戦を目指しています。
(情報記載・2010年10月)
追いかけられる怖い夢で目醒めたとき
わたしはいつも思い出すことにしている
幼い頃のこと
生まれた村が湖に沈んでしまったことや家族がばらばらになってしまった
こと
あの頃写した写真の一枚一枚
家族写真や学校の記念写真
もうとっくに封印されて失われてしまったものたちのことを
そして自分に言い聞かせる
落ち着いて
みんな捨ててしまったじゃないの。って
わたしは逃げたの逃げ果たせたんだよ。って
長田典子「湖」より部分
(「KO.KO.DAYS」4号所収)
return
誌名「Poem Rosetta」(同人誌)
発行者 蛾兆ボルカ
創刊年月日 2004年3月3日
発行間隔 年一号
最新号の発行日 2007年6月29日(通算4号)
最新号の執筆者 蛾兆ボルカ/Canopus
ポチットナーー/元箱男/リーフレイン/太田桐
今唯ケンタロウ
最新号の内容
特集は、<詩と「顔」>。
ゲストは森川雅美さんと馬野幹さんです。
詩誌の形態 B4で46ページ
配布形態 同人からの手売り、または通販
定価 250円(通販の場合コミで400円)
発行部数 公開していません。
バックナンバー 2号、3号は残部あります。
次号予告 未定
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発行者コメント(趣旨)
ロゼッタは5年前に「詩とリアル」をテーマに発足した同人誌です。
毎号サブテーマを決めますが、今回は「顔」です。
詩と顔をめぐる詩的試みを特集しました。
下記にホームページがあります。
Poem ROSETTA
(情報記載・2007年6月)
朝倉様
リーフレイン
庭の一角に建てられた離れの小部屋の柱には 古い能面がかかっていた。
”朝倉尉”という名で、翁が少々威張ったように笑う面だった。
子供とはしょうもないもので、黄ばんだ白の長いあごひげを三つ編みに編んでは母に叱られ、と繰り返していた。
三つ編みにしてしまうだけでなにやら怖さがなくなるような気がしたのだ。
母に叱られるよりも、面に叱られるほうが怖かった。
四畳半に切った茶室の畳の真ん中に寝転んで本を読んでいると、柱の上のほうにかけられた面と眼が合ってしまう。
「娘が寝転んではならぬ」
と 叱られた気がして、急いで居住まいを正す。
正座が長く続き、足がしびれてくると、また寝転ぶ。
するとまた 翁の面と眼があってしまう。
こうしたことを数回繰り返すと嫌気がさしてきて、あごひげを編みに立ち上がるのだ。
翁もえらい迷惑をしたことと思う。
「顔 3部作」より
(「Poem Rosetta」4号所収)
return
誌名「鶴亀」(同人誌)
発行者 武内健二郎
創刊年月日 2007年11月
発行間隔 年二回
最新号の発行日 2011年7月(5号)
最新号の執筆者 椿崎和生(Guest)
武内耕三(Guest) 浮田要三(Guest)
中堂けいこ 武内健二郎
窪田順(写真)
最新号の内容
詩10編、散文3編。
詩誌の形態 32ページ
配布形態 京阪神のギャラリーに
おいてもらっています。
手渡し、送付。
定価 未定
発行部数 ...
バックナンバー ...
次号予告 年二回発行。
***
発行者コメント(趣旨)
詩、エッセイ、写真他、面白いアートな場を、
つくってみよう。という姿勢で始めました。
武内健二郎のメセナ活動の一環です。(中堂けいこ)
(情報記載・2011年8月)
手を振る人
武内健二郎
手を振っているのか
夕陽を背景にした建物の
遠く暗い窓のむこうで
何かがゆらいだ
その部屋から
いつも
見送っている人
暗く遠い窓に向かって
僕も手を振る
夕陽を越えて
おおきく
手を振る
そのひとの見ている風景のなか
手を振る人として
夕陽に照らされた
手を振る人として
僕は手を振る
さようなら
また来るね
(「鶴亀」5号所収)
return
誌名 続「左岸(さがん)」(同人誌)
発行者(問い合わせ先) 左岸の会
創刊年月日 昭和62年9月1日(左岸)
(再刊年月日)2007年12月24日(続 左岸)
発行間隔 年一回
最新号の発行日 2012年3月31日(35号)
最新号の執筆者 新井啓子 広岡曜子
山口賀代子
最新号の内容
詩、散文。
詩誌の形態 A5版25ページ
配布形態 郵送。
定価 非売品
発行部数 300部
バックナンバー 在庫少々あります。
次号予告 ...
***
発行者コメント(趣旨)
新井啓子、広岡曜子、山口賀代子の3人が
発行している『左岸』です。
「続左岸」として復刊した後は、年一回発行しています。
意匠・造本は水仁舎の北見俊一さんで、35号
の表紙は春らしく桜が舞っています。
3人の作品も春めいています。
(情報記載・2012年4月)
食卓
広岡曜子
向かいあって話した中身は
ほとんど覚えていない
たぶん ささいなことばかりだったと
思う
父の脳は どんどん小さくなっていって
話していると
いつしか
父のまなざしの中に
私が居なくなる
どこか知らない所へ
行ってしまう
薄暮れの食卓に
そんなときは
いつまでも 座っていた父
あかりもつけずに
丸めた背中を
夕闇が ゆっくりと包みこんでいく
(続「左岸」35号所収)
return
誌名「ぶりぜ」(個人誌)
発行者(問い合わせ先) 山本楡美子
創刊年月日 2006年11月20日
発行間隔 不定期
最新号の発行日 2012年6月1日(11号)
最新号の執筆者 阿部壽子 颯木あやこ
山本楡美子
最新号の内容
詩4編。
訳詩(ヨシフ・ブロツキイ)2編。
散文1。
詩誌の形態 A5版28ページ
配布形態 郵送。
定価 500円
発行部数 ...
バックナンバー ...
次号予告 ...
***
発行者コメント
詩と評論の本です。
30ページほどの小さな冊子ですが、
どのページでも詩と詩人たちに出会
える本です。創刊号は詩とエッセイ、
2号は詩と評論、3号は詩とエッセ
イとなりました。新しい年を迎えて、
また新しい出発をしたい。
ネットのことも考えています。
(情報記載・2012年6月)
プラタナス
山本楡美子
こんどは
若いあなたのことを言うわ
すると少女は
肩を丸めて
低く「ども」と返す
「ども」
なにかを落としたような声
自分のことを言われて困っているの?
それとも
なに?
わたしは耳を立てる
「ども」と口をすぼめる
始めての表情で
短い「ども」を聞き分けようと
あなたに入っていく
そこにはプラタナスらしい枯れ葉が
集まっていて
枯れ葉の上をわたしは
踏む
枯れ葉が濁った音で
「ども」「ども」という
あなたの「ども」を聞くと
枯れ葉の上を歩いている
ほかの言葉を聞いても
同じだ
わたしは
プラタナスの枯れ葉の上を歩いている
短い濁音の
斑模様にとらわれて
形のない
枯れ葉を踏む
葉先で澄み
「ども」という
(「ぶりぜ」11号所収)
return
誌名「Eumenides 2」(個人誌)
発行者(問い合わせ先) 小島きみ子
創刊年月日 1993年2月
発行間隔 年2~3回
最新号の発行日 2008年9月5日(通算32号)
最新号の執筆者 小島きみ子
ゲスト:清水恵子・海埜今日子・及川俊哉
最新号の内容
詩論1篇、詩篇4篇
詩誌の形態 A5版42ページ
配布形態 クロネコ・メール便
定価 500円
発行部数 200部
バックナンバー 30・31号のみ有り。
次号予告 2009年1月発行予定
***
発行者コメント
詩のサイト"EumenidesU"の紙版。
詩と評論の個人誌。
詩作品は毎号ゲスト2〜3名を迎えます。
編集・発行人の小島きみ子が
参加依頼をしています。
(情報記載・2008年9月)
恋ふみ
海埜今日子
こいのとじょうでがれきをゆわえる
つらなって、めだたなさのなか
ふみばのないほどけいしゃにふるえ
かきとるきっかけににじみがはしった
みうしなったもくてきです
あしのはなれたさいげつです
うすれたちがいをおりこみながら
でんぶんをふくらむうわさもちぢまる
ぬるさのはなつこいでした
せいちょうするおんどさでした
かさなりのたんねんにはりめぐらされ
はなれたねんげつをたぐりよせ
あいぞうきんぺんでさわぐだろう
がれきにむけてたびだったので
わたしめがけてうけとります
らくさふきんにしゅいろにはなつ
やせたたよりのおとずれだった
こいでのけぞりおとこをはねる
うそにいくえにもほとばしり
しきさいのすきまをはへんでそめた
ぶんぴつをひめたいちまいです
だすことのなかったきんきょうです
つじつまをたどり、ようぶんをほどき
にごったでんごんをかきあつめては
せすじにはびこるとしつきもある
なんまいもおんなをそそぐこいだろう
いくらかはあたらしいうわさをたぐりよせ
けつりゅうのうず、ひらくかのように
こうかてきなこういです、ふちゃくです
ぶんりをあやぶむへんしんたち
につめるようなせいれつもあるのだと
こしをうごめくきおんがやましい
やぶれたまいすうもようしゃがなかった
かきそんじだったかをこいでかきわけ
かたがわだけ、ちしおにまじえる
たわわにみのったがれきでした
うわさをもとめてさしだせば
ほうしゅつされたほんとうがもどると
むくちにざわつくつちくれでした
おんなのくびれにしゅいろのひらく
もどるだろう、おとこのなかでにじんでいた
としのはなれたふうぶんをたずねる
ふらつくあしどりもこいでした
だんげんできればふるえもおさまる
がれきをめぐって、ふみをまつ
せすじをたどってこしつきだから
うそをおりまぜ、きせつをおりこむ
よばわって、こたえるとしつきがいとしいか
おとこ、くちをつぐむことで
べつのいつわをたどりましたよ
こいのおわりにおんなをにじむ
あるいはますますふるえ、はじまって
でんごんもまたさいげつだから
さしだされ、くぐりぬけたへんしんです
まっぷたつをあらわすいいつたえなのだと
しゅいろにわかれたかたわれです
かきいだき、ぴったりとしたずれをみつかった
きょうらんめいておとこをあるく
あのぺんさきで、こいをふめ
(「Eumenides 2」32号所収)
return
誌名「薄紫の冬桜」(二人誌)
発行者(問い合わせ先) 岡田すみれこ
創刊年月日 2008年11月
発行間隔 不定期
最新号の発行日 2014年10月26日(通算3号)
最新号の執筆者 岡田すみれこ 田中美咲希
池野要
最新号の内容
短歌・エッセイ・詩
詩誌の形態 210*150 66ページ
配布形態 希望者に配布
定価 定価200円(送料無料)
発行部数 ...
バックナンバー あり
次号予告 未定
***
発行者コメント
短歌、詩、エッセイ の 母と娘の二人誌です。
岡田すみれこ詩集『もう帰るところはありません』(2007年3月)の、
表紙画を描いた友野愉恵が今号も表紙を描いています。
ゲストの池野要氏が田中短歌評を添えています。
次回作は未定ですが参加ご希望の方はご連絡ください。
(情報記載・2014年11月)
母
おかだすみれこ
いつの間にかそんなに遠くへ
独りで漕ぎだしてしまったのか
そこはとおいからいかないでねと
娘だったわたしが母親になって言っていた
あそこは不安だからぜったいそばにいてねと
母親だったあなたが娘のようにわたしに訴えていた
ほんとうに心細そうに
あれほどにつよかったあなたの面差しはすでになく
不仲だったはずの娘にすべてを頼る
ひたすらにおとなしい老人になっていた
五十年ぶりに手をつないだ
あなたのすべてを支えることに
途方もない重みと疲労を感じた
曖昧模糊の果てしない池に霧がたちこめるとき
あなたは大きな声でわたしの名前を叫ぶ
その迫力にわたしは気圧される
不機嫌に責めたてられていた頃を思い出す
けれど
束の間 池の淵でやさしくできたことを
忘れてはいない
まだ会話ができていたころ
あなたがメモ帳にいつもいろんなことを一生懸命書いていたころ
車椅子で散歩をして花や猫を見つけていたころ
いつの間にあなたが手を離して
どんどんと池のなかへいってしまった
大声であなたがわたしを呼んでいる
ここにいるよと
わたしは答えるのだけれど
とても届かない
届かない哀しさにうちひしがれて
今日も池に背を向けて還ってくる
(「薄紫の冬桜」第三号所収)
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