ARCH 来間謙二『鳳凰と蛮鵬(ほうおうとばんほう)』――面白い!任侠冒険小説。



  相変わらず、いろいろなミステリ物・冒険物に手を出して読書漬けの日々を送っております。
 一気読みさせる面白い小説には、なかなか出くわさないものですが、このあいだ偶然手にした『鳳凰と蛮鵬(ほうおうとばんほう)』という小説、これが当たりでした。
 一見ヤクザ小説ですが、物語の芯は冒険小説そのものです。主人公の風間竜二は鍛魏拳(たんぎけん)なる恐るべき技を持ち任侠の道をひたすら邁進する。仲間とともに暴力団相手に暴れて勝ち続け、その世界で名を成すにいたる。

 縁あって博徒系の天成会に迎えられた竜二は、全国制覇をめざし侵攻してくる山王組の、凶獣の異名もつ広野組長を暗殺する事態をむかえた。。。戦いのバイブル「孫子の兵法」をひも解き秘策を練る竜二は、ひとつの方法を思いつき、実行過程のさまざまな細部を詰めて準備をすすめていく。。

 そして首尾よく暗殺に成功した竜二は台湾に潜伏することに。彼を追って迫り来る山王組の刺客。かの地、台湾の凶悪なマフィアとの思いがけぬ対決。仁義なき台湾マフィアとの壮絶な戦いは、まさに手に汗握る展開をみせ、読者を圧倒するものです。
 作者の一気読みさせる力量は、並ではないと思いました。
 文句なくお薦めです。

小説『鳳凰と蛮鵬(ほうおうとばんほう)』
原作   風間総司
執筆者  来間謙二
中文訳  宋 維
発売   株式会社叢文社
発行日  2006年1月27日